ボトル

good night mare

うんこカスゲボチンチンザメテオ

 自転車を買った。

 

 2万5千円ほどのクロスバイクで、ライトや鍵、その他もろもろ消費税含めて3万円を少し超える程度のかわいいひと。


保険も入らないといけない。

大阪市では自転車保険に入ることが義務付けられているらしいのだが、恥ずかしながら手持ちがなかったため「近々もっかい来てください。」ということで未加入。せっかく予算内でいい買い物ができたのに、保険のことまで考えていなかった。予算オーバーだよ。


 車体は黒、ライトはミントグリーン。
過去の愛車たちはすべて盗難により紛失しているので(私は本当にこういう運に見放されている)、鍵は柱に巻き付けられるような長いものを選んだ。


輪行に挑戦したくて購入に至ったのだが、予算的にも10㎏以下のものを探すのは難しい。
通販も検討したものの、何かあった際に自転車屋さんで断られる可能性を考えると、やはり店頭で購入したほうがよさそうだという結論になった。


このひとの体重は12㎏ということだった。持ち歩けるギリギリの重さだな。


 輪行というのは、公共の交通機関を使って自転車を運ぶこと。自転車を分解して小さくまとめ、専用のカバンに入れておくことで電車やフェリーで運ぶことができるらしい。

 


 去年の後半あたりからぼちぼち行き始めたキャンプだが、調べれば調べるほど遠くにある。

当たり前だが市街地にキャンプ場などない。では郊外へ赴くかとつま先を向けようが、車の免許を持っていない。バイクどころか原付免許もない。徒歩と電車で行こうにも、駅からキャンプ場までタクシーで15分、なんて案内もザラである。


ここで行きついたのが輪行というアイデア
キャンプ場の最寄り駅まで自転車を担いでいって、着いたら組み立て、キャンプ場まで漕ぐ。
完璧じゃないか。

 


 しかしながら、どんなに完璧な計画であっても無視できないのは現実との摩擦である。


 初めてこの自転車に乗ったのは当然、買ったその日なのだが、クロスバイクというものをそもそも理解していないがためにケツが猛烈に痛い。
サドルには椅子の機能がない。


ケツが痛いのはまあいい。だいたい予想していた。小野田坂道もたしかおんなじことになっていた。しかしこれに慣れなければ3時間を超えるサイクリングなど到底無理である。


そして翌日には上半身が筋肉痛になった。これは予想していなかったので調べてみると「よっぽどでもないかぎり街でのサイクリングで上半身が筋肉痛になることはない。」とある。

体力がないってこういうことか。
痛む二の腕、腹筋、手首。
なんじゃこれは。


 行きたいキャンプ場、調べつくした河原、3月には鹿児島にフェリーで行きたいなどと思っていたのに。完全に考えが甘かった。これでは10キロを超えるザックを背負って輪行など、夢のまた夢である。

うんこカスゲボチンチンザメテオ。

 


 ということでここ1週間、1日20kmを目標に毎日1時間強走っているのだが、これがすでにつらい。
時速20kmくらい自転車なら普通じゃんと経験者の方なら思うかもしれないが、大阪市内の住宅街は死ぬほど信号が多い。信号が多いと休憩が多い。いちいち止まるストレスと体の冷えが私のやる気をそいでいく。


 あーーーやめてえーーーーー。
だれかいい練習方法があったら教えてください。
よろしくお願いします。

 

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辛いという字にスプーンを足して幸にしたい

 人生で一度もやったことがないことを一つでも減らしたい。

 

 

 スパイスカレーを作りたい。

 

 嫌いな食べ物はカレー。

なぜ嫌いなのかというと、辛すぎるから。

お腹を壊してしまうから。うんこを食べた後カレーがケツから出てきてしまうから。

 

 思えば、カレーを避け続けた人生だった。

松屋のカレーが美味しいと話題になった時も「出先で体調が悪くなってはいけない」と牛丼を食い、話題のお洒落なスパイスカレー屋さんにみんなで行っても頭痛で完食不可。

お前のことを避け続けてきた。直視できなかった。

 しかしもう一度好きになりたい。あの頃のようにのびのびと、優しい母の手をにぎって歩いたあぜ道とお前の匂いを思い出したい。

 

 もう一度、お前を抱いてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死なないスパイスカレーを作りましょう〜〜!!

 

 ということでいろいろなスパイスを調合して、死なないカレー、いわば「不死カレー」を作ってみたいと思います。

 

 実は私はスパイスカレーを作ること自体は初めてではありません。

過去2〜3回作っていますがどれも下痢からの嘔吐からのアレルギーぶったおれ発熱で連敗中。

(※料理の記事とは思えないほど汚い言葉が続いておりますが、ご容赦ください。)

 

 今回不死カレーを制作するにあたって、参考にさせていただいたサイトがこちら。

https://camp-quests.com/27075/

はれうさぎぽん子さんの記事に正確な分量や手順が全て載っています。

 

 私の不死カレーは、はれうさぎぽん子さんのレシピをベースに"私が死なないよう"一部スパイスを変更したり、分量を変えたりしています。あなたが死ぬか死なないかは不明ですので、お気をつけください。

 それでは死なない程度にやっていきましょう。

 

 

 まずは材料。

私の用意したものはこちら。

 

◉ルーの材料

桃屋 きざみにんにく(大さじ1)

桃屋 きざみしょうが(大さじ1)

・たまねぎ(小さいのを4個)

・カットトマト缶(1缶 400g)

・オリーブオイル(大さじ5)

コリアンダー(20g)

ターメリック(4g)

ガラムマサラ(6g)

・レッドペッパー(2g)

・醤油・塩(適量)

 

 まずは上記の材料でカレールーを作っていきます。最終的にはルーに水と具材を入れて煮立て、調味料で味を整えてカレーに仕上げるというお手軽な方法。ありがたいですね。

 

 材料も揃ったところでスタートです。

この記事では断片的な写真をガンガン上げていくので、詳しい作り方は本家に飛んでください。

 

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まずは多めのオリーブオイルに刻みニンニクをドーン。

サラダ油ではなくオリーブオイルにしたのは少しでも味をフルーティにするためと、カロリーへの意識ですね。

 

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そして生姜もドーン。

 

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桃屋のきざみにんにく、きざみしょうがは和洋中全てに使えるのでメチクチャ便利です。

保存も効くしすでに刻んであるし最高。

ニンニクの方は軽く味がついているのでアヒージョ作る時も便利ですね。

しょうがのほうは"すりおろし"ではなく"きざみ"なのがミソ。豚の生姜焼きみたいなガツンとした料理をするときに最適です。

 

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いい感じに香りが立ってきたら

 

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たまねぎをドーン。

 

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実はこれ、前日にすりおろしたたまねぎを凍らせておいたものです。

たまねぎは一度凍らせると細胞が壊れ、飴色になるのが早いとか。

 

本当は解凍してから炒めるのがいいんでしょうが、私はそのまま弱火のフライパンで放置して解凍してしまいます。

 

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とりあえず全部解けました。

ここから飴色にする作業です。

 

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そしてだんだん煮詰まってくる。

 

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水分がなくなって

 

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色が変わってきます。

 

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いい感じ!

 

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満を辞して登場。

カットトマト缶を

 

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ドバッ。

 

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事前に量っておいたスパイス類を

(現時点ではガラムマサラは4gしか入れていません)

 

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バサッ。

 

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ちなみに使ったスパイスはこの3つと

 

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レッドペッパーは少しです。

 

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様子を見ながら少しだけ水も入れて、練るように混ぜる!

 

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一気にカレーの感じに。

味見をしながらここでガラムマサラを+2gと、醤油と塩で濃いめに味を整えていきます。

 

焦げないように気をつけながら、しっかり煮詰めてルーは完成。

冷凍保存可能とのことなので1食分に分けて冷凍庫に保管しておきます。

 

 

 さて、ここからはルーを使ってカレーに仕上げていく作業。

 

用意したものはこちら。

 

◉仕上げの材料

・缶詰(なんでもいい)

・水(ルーと体積比で1:1くらい)

・砂糖(小さじ2)

 

 

1人分を作ろうと思うとルーの分量を示すのが難しいですが、大体2〜3倍に伸ばすと考えれば大丈夫だと思います。

 

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今回はシーチキン缶。

汁ごと使うのでコクが出るし、味もマイルドになるのでおすすめです。

以前試作した際に妹に振る舞ったコーンとシーチキンが一緒になってる缶詰で作ったものも好評でした。


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全部入れて沸騰するまで待ちます。


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ガーッと混ぜて弱火で水分を飛ばして


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完成。

 

普通のレトルトカレーなどに比べるとさらさらめなので、ご飯と一緒に盛るよりも深いお皿で別盛りにした方が良さそうです。

 

 

 なにはともあれ、このレシピであれば私は死なずに済みます。

 

 やはり腹痛の原因は唐辛子系のスパイスです。刺激物に弱いのは分かっていたのですが、ゼロで作ってしまうとやはりパンチが足りません。

そこで、比較的安価でどこでも手に入るレッドペッパーをほんのちょっとだけ入れることで物足りなさを解消、ギリギリお腹を壊さない吊り橋のようなカレーが完成しました。

 

 元のレシピでは、味付けに醤油をつかっており、非常に理にかなっていて目から鱗でした。(たぶんですが、塩だけで味付けをしてしまうとしょっぱさの奥行きが小さくなってしまう......?コクも出ます。)

 

そして仕上げに砂糖を入れることで全体をまとめ上げ、「トマトと玉ねぎのスパイスジュース」から「スパイスカレー」に変身します。

元のレシピではお好みでとありましたが、私的には必須の調味料ですね。

 

 

 そして当日も翌日もお腹を壊すことはありませんでした。手作りサイコー!

 

 

 

 少しだけ、好きになれたよ。

 

お前のこと。

 

               〜fin〜

 

 

 

 

目標を決めてダイエットをしよう!

 

ダイエットをしようときめた。

 

 きっかけは本当に些細なことで、本当にたまたま、本当に久しぶりに乗った体重計のせいだった。
その時は旅行の最中に来た。贅のかぎりを尽くし、実際に声を出して「もう食べられないよ~」などと言ってふざけていた。肉を食い魚を食い、酒を飲み、移動は車でじっと過ごす。宿につけばねむり、起きたら、またごはん。体調に変化はなかったが、太らないはずがない。


旅行中、私の体重は60kgになっていた。いや実際には59.5kgだった。あと500gうんこが体内に残っていればあやうく60kg台に上るところであった。

 


「ダイエット?バーーーーカ!若いうちに食べたいもの食べずに老人になってからあれが食べたかったなんて思っても仕方がないでしょ~~~~~~が!」


というマインドで生きてきた私もさすがに青ざめた。
60kgて。いや正確には59.5kgだが。

 


そういうわけで旅行から帰った当日より、私のダイエットプログラムは始動したわけである。

 

 


 まずは目標を設定することにした。


大きな目標(最終的に何キロ痩せたいのか)
中くらいの目標(毎月何キロ痩せるべきなのか)
小さい目標(毎日達成するべき項目)


を設定するべきだなということで、少し前にフォロワーに聞いた話をもとに目標を立てた。

 


■大きな目標
10月~12月末の3か月間で-10kg
家でできるくらいの筋トレをしながら50kgを目指す


■中くらいの目標
単純計算で1か月あたり-3.3㎏
それを楽にするために9月中に食生活を身に着ける


■小さい目標
毎日15分のランニング(最低週4回)
20回の腹筋、背筋 (これは毎日。外にでれないときにもできるから。)
鏡があったら姿勢を正す
朝ご飯をしっかり食べる
昼ごはんは蒸し鶏サラダと温かいスープ
夜はタンパク質中心のおかずだけをを少なめに食べる(納豆・ゆで卵)

 


これが1番最初にたてた目標だが、3週間後にはまた変わる。

 

 

 


ここから下は3週間分の簡単な日記です。

 


9/23(火) 
旅行から帰った私はまず体重計をアマゾンでポチった。
そもそもこの女、体重計すら持っていなかったのである。


もちろん家で体重をはかっても、体重は59kg台だ。どうしようもない。


さらにしばらく放置していたあすけん健康アプリも入力を再開。
10月からスタートするダイエットに向けて1週間、食事を変え、起床時間を変え、生活習慣を変え、徐々に準備をしていった。

 

ちなみにランニングは1回やったらしんどすぎたのでウォーキングにかえた。

 


9/30(水)
結論から言うと、9月末の時点で体重は-3kg.。
57kgまで減っていた。まずはぼちぼちの成功体験をかみしめる。


ただ、あすけん健康アプリのいう「炭水化物不足」が心配だ。
ということで夜ご飯の米の量を普通のお茶碗一杯に戻す。

 


10/5(月)
10月から本格的にスタートしたダイエットも5日がたち、人と食べる以外のご飯はほぼうさぎの餌と変わらない。食の楽しみがないことが、こんなにも人生をモノクロに変えるのね。などとセンチメンタルな気分になっていたが、たまにはうれしいこともある。


この日、-4kgを達成。久々に55kg台の体重計を見た。55.8kgだが。
旅行中のピークの体重から仕事終わりのおなかぺこぺこ状態を比べてるんだから当たり前なのだが、それでもうれしい。
3か月であと6キロ減らせばよい。目標が少し軽くなると人間は卑しいのでいっぱい食べてしまう。あたりまえに数百gリバウンドしたが、そんな自分も愛するべきである。

 


10/10(土)
そして本日。
10/7~10/9にかけては炭水化物不足と台風の低気圧、その他の体調不良などが重なって気分はどん底。最悪な気分だったがそれでもダイエットは続く。雨が続いたのでウォーキングはできなかったが、気分転換を兼ねて熱い湯舟につかると汗をかけた。


最近では酒の飲み方や食べ合わせや消費カロリーの計算をしながら買い物をすることが増え、お酒は白ワインかハイボール、おつまみはナッツとかレバーペーストみたいなものにしているが、やっぱり体を動かさないとダイエットしてる気になれない。

 


たとえ1gでもせっかく減ってくれた肉だ。無駄にしたくはないので長く続けたい。
少しづつ小さい目標を変更する必要がある。


ダイエットを決意してから3週間後。
目標設定を見直すことにした。

 


■大きな目標(変わらない)
10月~12月末の3か月間で-10kg
家でできるくらいの筋トレをしながら50kgを目指す


■中くらいの目標
9月中に57kgまで落とせたので、1か月あたり-2.3㎏ に目標を変更

 


■小さい目標
毎日15分のランニング
→つらいことは続かないので、ウォーキング30分に変更(最低週4回)
20回の腹筋、背筋
→筋トレというよりストレッチみたいになっているけど、おきた直後目を覚ますために朝にやる
鏡があったら姿勢を正す
→鏡がないので意味なかった
朝ご飯をしっかり食べる→クリア
昼ごはんは蒸し鶏サラダと温かいスープ→クリア
夜はタンパク質中心のおかずだけをを少なめに食べる(納豆・ゆで卵)
→炭水化物が不足するので、米を普通に食べるようになった。納豆は継続成功。体を温めるためスープものを用意するようになった
 


酒に関しては白ワインとハイボールと焼酎を飲んでいる。
おつまみは低カロリーを意識すると塩分をとりすぎるのであまり意識せずに少ない量を食べる
翌日、むくみをマシにするために朝ご飯はフルーツをたべる

 


 などなど、知識が増えると制約が増えるが、結果もついてきて楽しいダイエットとなっている。
一人で日本酒を飲みに行くとか、ラーメンやパンを控えて米を食べるとか、1駅分歩くとか、やり始めたことや逆に控えざるをえなくなった趣味もある。が、何より大事なのは、人と会ったときに思いきり食べて飲むことだなと思った。
人と会うのを楽しみに頑張れるというのは、今までの私にはあまりなかったことだ。
ご褒美の日を設けないと人間マジでがんばれないので……。

 


長々と書いてしまったが、備忘録としてまた1か月後くらいに続きを書こうとおもう。
それでは。

 

 

自虐合戦

 

 

 先日、ネイルの手入れに行った時の話だ。ネイリストさんは少しふくよかで、笑顔が素敵な方だった。


「本日担当いたします、〇〇です。」
「お願いします。」


テンプレ通りの会話から始まり、席に着く。

 


 散髪の時、店員さんに話しかけられるのが苦手という話をよく聞くが、私の場合はネイルがその地獄の時間だ。


 ただ、今回のネイリストさんは少し違った。
施術が始まり、その途端ネイリストさんは開口一番こういった。


「私ってデブじゃないですか。」

 


ええーっ
自虐からスタートする会話とかあるの?お互い何にも知らない状況で?

 


そのあともでるわでるわ自虐の応酬。


「いっつもデブって言われるんですよ。」
「店内狭くてすみません、や、私がやせろって話なんですけどね!w」
「ご飯おいしそうに食べることぐらいしか取り柄ないんですよ~。」


それらに「そんなことないですよ~」を返し続ける私。
今までで一番の地獄を感じていたが、その数分後さらなる地獄を経験する羽目になる。

 


 確かに身体的なコンプレックスを持っていることは誰にでもあるし、このネイリストさんの場合、たぶんだけど仲間内でも「ハイテンションデブキャラ」の地位を獲得しているのだろう。
初対面であっても自分自身の弱みを開示することで親しまれやすくなる、なんてこともあるのかもしれない。


だんだん聞いていくにつれ、私自身も「なにかフォローしてあげなきゃ!」と焦っていた。

 


少しでも流れを変えようと、放った私の一言が悪かった。


「えー、でもそれって魅力ですよ。」


嘘じゃない。
実際私は太っている人が好きだから。
太っていることはあなたが思っているほどマイナスではないと伝えたかった。


ネイリストさんはきょとんとして3秒ほど止まった。そのあと


「えー、そんなこと言ってくれたの、お客さんが初めてですよ~」


と返ってきた。

この時点では会話がうまくいっていると思い込んでいたのである。

 


そして、私の話を始めた。


私は肌が白く、それをほめてはもらえるが何度も言われると嫌気がさしてくること。
病弱そうに見えて嫌だった時期があること。
ニキビや日焼けが目立ちやすいこと。
でも肌が弱くてなかなか合う化粧水や日焼け止めが見つけられないこと。


最大限配慮したつもりだった。


「誰にでもコンプレックスってありますよね、でもそこがいいと思ってくれる人もいて、なんだか世の中ってホントわかんないですよね」


という話に持っていきたかった。

 


持っていきたかったのだが、一通り私の話を聞き終えたネイリストさんはこう言った。


「んー。私の悩みとは全然違いますね!肌白いのはいいじゃないですか、でもデブは誰から見ても嫌なので!」


こういわれてしまってはもはや軌道修正はできまい。
全く何も伝わらなかったし、フォローもできなかった。
完全に私が出した例が悪かった。無駄に人を傷つけたうえ、白い肌を自慢した人になってしまった。
序盤からおとなしく自虐話を聞き流すか、もしくはハゲの話でもしておけばよかった。


「そ、そうですか……。」


ようやく口を開いたときにはのどはカラカラ、気持ちはクタクタ。
ネイリストさんも顔には出さないがいつものペースが狂い、心なしか不機嫌そうに見えた。

 


そのあとは二人とも、必要最低限のこと以外、何も話さなかった。
押し黙って、塗り替えられていく爪を眺めていた。


ここが、本物の「地獄」ってやつですか。

 


まだ少し暑さの残る昼だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピング

 

 人生で一度もやったことがないことを一つでも減らしたい。

 

 べランピングという言葉があるらしい。ベランダ+グランピング=べランピングという造語のようで、最近だとチキンラーメンのCMなんかでも使われている。この自粛期間中に生まれた言葉かと思いきや、実は結構前からあるっぱい(ソースなし)

 


 もともと登山やキャンプに興味はあったが、1日中動きっぱなしなのがプレッシャーであまり行かない。運転免許もなければ車もない。


学生の頃「燻製研究会」から始まった「アウトドア料理研究会」の血が騒ぎだす。
あのころ少しずづ買い集めたちいさなキャンプ用品たちがこっちを見ている。

 


 仕事中にふと思う。
次の休日に、久々に比叡山まで行こうかな。
山のふもとで燻製だけやって、1人で5時間くらいキャンプしようかな。
そうしよう、絶対楽しい。やるぞー!

 


 やる意思が固まったとたん、もう家の近くのコーナンにいたし、必要なもの全部買ってたし、家に着くなりすべてを開封したし、ベランダに置いた。それがべランピングの始まりだ。このスピード感についてきてくれ。

 


 私は祖父と2人で暮らしている。当然祖父にも声をかけねばなるまい。


「今日の晩御飯はベランダで食べるけど来る?」
と聞くと、多少面食らったような顔をした後、「了解!」と元気に返事が返ってきた。

 


 夕方5時半、2人でベランダを掃除する。
西日がまぶしく、それでいて風はすっかり秋の体温だ。


私が想像していたよりも祖父はウキウキとしていたらしく、私がキッチンで食材の準備を終えベランダに持っていくころには十分な照明と椅子がすでに準備されていた。

 


妹にも連絡を入れ、狭いベランダで火をつける。
ビールと三ツ矢サイダーで乾杯。
あらかじめ用意しておいた枝豆を口に入れながら料理ができるのを待つ。年季の入ったラジオから、今流行りの曲がガシガシの音質で流れてくる。9/26の夜は今始まった!


 岩塩の板の上で肉を焼くとうまいという噂は本当だったし、白身の魚を焼くとしょっぱかった。
シャウエッセンと6Pチーズはスキレットをつかって燻製に。しばらく使っていなかったコッフェルは十分仕事をしてくれた。


今回は米がないので炭水化物が欲しくなった時のために、と思いジャガイモでグラタンを作っていたのだが、みんな満腹になってしまったようである。これは明日食べる。

 


 一通りすべての食材を調理し終わって、一息つく。ふーっと吐く息と一緒に、肩の力が抜けていく。
ぽんぽんのおなかを丸出しのまま,ぼーっとベランダで座って過ごす。火の前で仕事をした後の秋風が心地よい。できればこのまま眠りたかった。
べランピングの良さは、そこが家ということだ。すべての汚れ物は明日片づけることにして、風呂に飛び込む。

 


 次はメスティンをかって米を炊きたいなあ、とか炭火をおこして焼き鳥をやるのもいいなあとか、午前中から初めて昼ごはんの時間にべランピングするのもいいなあ、とか。
野菜がもっとほしかったなあとか、ちょうどいいサイズのまな板って難しいよなあとか。
湯につかりながら次のことを考える時間が何よりも至福でよい気分。

キャンプグッズの動作確認もできたのがよかった。

 


 もう少し寒くなったら、焼酎の湯割りでたのしみたいな。

 

 

 

映画館で映画を観よう

 

 人生で一度もやったことがないことを一つでも減らしたい。

 

 私は今まで映画館で映画を見たことがほとんどない。

 

 なぜか。


生まれ育った家庭のせいにしてしまえばそれまでなのだが、それ以外にもいくつか理由がある。それは1つの映画に1800円払うのがもったいない気がするだとか、見たい映画がないだとか、そもそも習慣がないだとか。


 とにかく映画に限らず「最新のもの」にさして興味がない私は、これまで自ら映画館に足を運ぶことなどそうそうなかった。

が、残業がなく、20時までに必ず仕事が終わる、固定休のあるバイトに受かってから心境が変わってきた。


 やることがなさすぎるのだ。


今までなら平日も土日も関係なく、その日の人員によっては残業をし、家に帰っても仕事の続きをしたりという(フリーターらしいといえばそうなのかもしれないが)、およそ振り回されっぱなしの生活だった。それが急に毎日朝9時に起き、支度をして10時に家を出て、会社について朝ご飯を食べ、11時にタイムカードを押し、15時に昼ごはん、20時には仕事を終え21時には帰宅、という完ぺきなルーティンを平日にこなす生活に変わった。


 何か趣味を見つけなければこのまま20代の前半が終わる。
その焦燥感に苛まれた結果、冒頭の話に戻る。

 

 

 


 そうだ、映画観よう。

 


 最初に述べた通り、映画館で最新の映画を観るためには1800円もかかる。
たっけ~。たかすぎて高杉晋作になるわ。


結局、レディースディにレイトショーを観に行くことで解決した。(1200円)


毎週水曜日、21:00以降の映画を選ぶ。
月に4回、最新映画を観に行く。なかなかオトナの気分でワクワクする。


 手始めに「僕の好きな女の子」という映画を観た。
ピース又吉が原作の短い映画だ。
理由は90分だったから。120分もじっとすわって画面見てるの耐えらんなくないですか?

 


 せっかくの映画記念日だ。2020年8月19日。華々しくいきたいものだ。
生まれて初めて一人でキャラメルポップコーンとコーラを買った。一度独り占めしてみたかった。
 新型コロナウイルス感染症予防の観点から、シアターの椅子は1席ずつ空いている。
それが本当に心地よかった。薄暗くて涼しいシアター内に一人、また一人と私以外の客が入ってくる。みんな一人で観に来ているんだ。盗撮防止の注意喚起も、上映中の諸注意も、昔見たものとはずいぶん変わっていたけれど、内容はほとんど変わっていなかった。


 シアター内がいっそう暗くなって、スマホの電源を落としても、私の前の席と両隣にはただの一つも人影がなかった。快適、快適。

 

 


 かくして私の一人映画デビューは幕を閉じた。
映画館で映画を観ると次に観たい映画が決まる。
上映が終わればそそくさと家路につく。終電まであと20分かそこら。

 


 そのあと決まって見る映画の夢が楽しみだ。

 

 

 


「おもしろき こともなき世を おもしろく 」


 今の俺ならそう詠むね。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球儀の外側にも酸素がある件wwww

 

 

 気づけば空には2つの月があった。目が開けられないほどまばゆい光を放つ、青白い球体。おそろしく寒い。一体ここはどこなんだ。
目の前に広がる砂漠のような景色。しかし、砂は浅く、地面は凍ったように固く冷たい。


 はだしのまま、少し地面をけってみる。固い地面につもった塵のような細かいそれは、目の高さまでひろがって、煙みたいに舞い上がった。


「おかしいでしょ、こんなの。」
心の中でつぶやく。だって絶対おかしいもん。だってついさっきまで……。

 

 


 ついさっきまで私は……夏の終わりのもう近い、日本にいたはずだ。
友人と駅の地下のアウトレットセールにいっていたのだ。
思い出しながらあらためて、自分の姿を眺めてみる。
お腹はすいていないし、のどが渇いている様子もない。
確かランチはオムライスだったなあと記憶を手繰る。
ふと右側をみると有名店のタピオカミルクティーが飲みかけのまんま砂の上においてある。


「食料はこれだけか。」
砂漠の真ん中で、唯一の食料がタピオカだなんて。
手に取ってまじまじとみつめて、そのまま指先から腕へと視線を流してゆく。


 エメラルドグリーンのワンピースを着ていた。うなじに手をやるとまだ、値札が付いたままだ。これは自分のものではない。
友人とランチにオムライスを食べた後、近くの雑貨屋を回って、お目当てのタピオカにならんで……。


 とりとめのない考え事をするとき、私はそわそわと落ち着かなくなり、ひとりで散歩にでる。
そうすると頭が働くのだ。じっと机の前で止まっていたって、どうしようもない時がある。
今はまさにそんな状況だ。でも、砂漠で迷子の時って、やっぱりその場から動かないほうがよかったりするのかしら。


ちょっと迷ってから、手に持っていたプラスチックの容器をもう一度地面に戻した。
これのまわりを大きく回りながら考え事をしようじゃないか。名案だ。


 そして私ははだしのまま、歩き始めた。
砂は火山灰のように細かくさらさらしていて、柔らかい。
2つの月が背中を追いかけてくる。ひらけた屋外なのに、影が2つあるのは少し不思議な気持ちになる。ひらひらおどるスカートの裾が、こんなにもかろやかだなんて。自分以外誰もいないステージで、素敵な衣装を身にまとう。不安と孤独に包まれながら、まるで春風をまとうバレリーナだ。


身体が温まってくる。脳に酸素がいきわたる。
このエメラルドグリーンのワンピースの正体は?